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除脚・7(達人の言葉)

 「稽古(けいこ)は目から育つ」と私は講座の中などでよく言っています。

 私自身も力の抜きかたを覚えてから、他人の力の入り具合や、力みの分布がとてもよく分かるようになりました。
 それは今でも、講座に参加している方の診断や修正に応用されています。

 参加をしている方どうしでも、的確な指摘ができるようになってきました。
 技の受け手として、「この人にまかせておけば安心だ」という常連さんも現れています。


 あるとき、電車の中で暴力事件に遭遇(そうぐう)したことがありますが、乗客が相手に殴りかかった動きを見ただけで、その人の実力が分かった事がありました。
 物音がしてその人の姿が視界に入った瞬間、漫画に出てくる強さを数値で表す機械のように、戦力分析が終わっていたのです。

 そのときに分かったのは、「人が人に殴りかかる」という一瞬の動作の中にも、拳のにぎり具合・全身の力みの分布・全体のバランス・腕の軌道(きどう)の安定性など、とても多くの情報がふくまれているという事です。

 おおまかに言えば、相手の体の使いかたが拙(つたな)かったり、常識的だったりするほど、その人の実力は正確に分かりやすくなります。
 丸裸で歩いているのに近いのです。


 逆に、その人の持つ動きが高度なほどに、正確な実力は分かりづらくなります。
 「底が見えない」という言葉がありますが、「能ある鷹(たか)」の真の爪は、本人が意図せずとも隠れているものなのです。


 時代劇の中で、向かい合った瞬間に「参りました」と一方が降参(こうさん)する場面がありますが、あれは本来、物語のために誇張(こちょう)された作り話ではないと私は思っています。

 流派の存亡や個人の尊厳(そんげん)をかけた立ち合いにおいて、「参りました」という言葉が出てくるためには、相手の実力を計る高い眼力と、相手の実力を素直に認め、目を逸(そ)らさずに事実を受け止める高い精神性が必要とされるはずです。


 物語の中では相手の実力を際だたせる演出にばかり使われますが、「参りました」という言葉を発する側もまた達人なのです。


 (つづく)


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tag : 源武術 源運動 稽古法 上達の秘訣 稽古レポート 術理解説 脱力術 根本原理の組み替え

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プロフィール

方条遼雨

Author:方条遼雨
■ カルチャー学校講師や身体講座の企画を行っています。 
■ 「動きにおける根本原理の組み替え」に主眼を置いた、【玄運動/玄武術】の概念を提唱し、武術や身体動作を研究しています。 
■ 松聲館・甲野善紀先生、動作術の会・中島章夫先生のアシスタントなども。 
ほびっと村学校講座「りきみをぬく」-日常・運動に役立つ脱力法-講師。

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