除脚・6(名刺交換)
「あなたは高速道路の砂袋」「手で持っているけれど体幹(たいかん)で止めに来ているね」などと言われた事もあります。
武術や身体のことをやっていると、体そのものが時に言葉よりも雄弁(ゆうべん)に語ってくれることがあるのです。
以前ある武術のセミナーに参加したとき、近くにいる人と二人ひと組になっておこなう練習がありました。
講師の号令で組む事になった人と向きあった瞬間、こんな事を言われた経験があります。
「わっ力が抜けている!」
その人とは面識がありませんでしたし、どれだけ「力が抜けている」と思ってくださったのかも分かりません。
しかし、その人には私が「力を抜くことを中心に工夫をしてきた人間」だという事が伝わってくれたのです。
同時に、その人は「そういう私の体の質を一瞬で判断できる人」という事をこの一言で伝えてくれました。
からだの事に携(たずさ)わっていると、出会って一秒もしないうちに名刺交換(めいしこうかん)するような、そんな楽しい瞬間もあるのです。
その後、その方とは特に言葉を交わす事もありませんでしたが、どこか独特の親しみを感じていた事を覚えています。
(つづく)
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