人の業(ごう)について

 人間は、業に満ちた生き物である。
 人間という生物の要素の中に、悪意、殺意、残虐性、我欲という要素は抜き難く存在する。
 それ等を忌むべき物として嫌悪する者がいてもいい。
 しかし、それを忌むあまり、確実に存在する事実からも目を逸らし、「無い物」として認識しようとした時、現実に対する処理に致命的な錯誤が生じる。
 最初に立脚すべき座標の、足元に巨大な穴を空けたまま思考を積み重ねてしまっているからだ。

 煮えたぎった毒に無理矢理蓋をしてしまうと、圧力を増した毒がその隙間から溢れ出る。
 身の裡にある毒を正面から見据え、その存在を認め、その上で上手く毒抜きをして行くのが文明人としての腕の見せ所なのだ。

 表現の規制や、死刑廃止論等、私の目から見れば、人間の本質から目を逸らした、極めて拙い処理に見える。
 「人体の不思議展」に対する批判の動きもそうだ。

 どんなに美しい人間も、服をはぎ取れば性器が付いているし、腹を切り開けば糞尿が詰まっている。
 心臓が止まれば死ぬし、臓器が損傷すれば各種の不全が起こる。

 それ等は当たり前の事だし、誰でも知っている事のはずなのに、それ等から目を逸らしたまま、それどころか目を逸らしている事にすら気付かずに、この世界を処理しようとしている人間が存在する。
 たとえそれ等に目を向けたとしても、人間やこの世界の価値は僅かたりとも損なわれる事は無いのに。
 自分のちっぽけな価値観が「美しい」と思う物だけで、この世を満たそうとしているのだ。

 世界は、陰陽相交わりつつ、複雑に関わり合いながら存在している。
 そして、それ等も含めて美しいのだ。
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方条瞬刻

Author:方条瞬刻
■ カルチャー学校講師や身体講座の企画を行っています。 
■ 「動きにおける根本原理の組み替え」に主眼を置いた、【源運動/源武術】の概念を提唱し、武術や身体動作を研究しています。 
■ 松聲館・甲野善紀先生、半身動作研究会・中島章夫先生の術理を研究。 
■ 定期的に中島先生を講師にお招きし、東京都中央区にて「甲野善紀の術理史」という稽古会を開催中。 
ほびっと村学校講座「りきみをぬく」-日常・運動に役立つ脱力法-講師。

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