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タブー

 タブーとは引力である。
 その対象、事象の引力の強さ故に、心が、行為が、乱される。
 心や行為が乱されるから、その引力圏に足を踏み入れる事を禁じた。
 逆に、引力圏に踏み入れても揺るぎなく立ち続ける事のできる者達にとって、タブーはタブーでなくなる。

 つまりタブーとは、その人間や集団の持つ不安定さの象徴なのである。
 不安定だからタブーの持つ引力に両膝を崩され、奈落へと引き落とされる。
 両足の安定を保つ者は、タブーに触れても引力に崩れ引き落とされる事はない。

 「不安定」は「未成熟」と言い換える事ができる。
 未成熟だから、タブーに近付き、触れた時、心を、行為を乱される。

 例えば、「人を殺したっていいじゃないか」と冗談を言ったとする。
 そして周囲がその人間に対し、「何という恐ろしい事を言うのだ」と厳しく非難したとする。
 この時、周囲の人間は「人を殺したっていい」という発言に乱されてしまう己の心を恐れている。
 また、「人を殺したっていいじゃないか」という発言の影響を受け、本当に人を殺してしまう人間がその集団から発生する事を恐れている。

 もしもその集団が、「人を殺したっていい」という冗談一つ程度では、決して揺るぐ事の無いモラルを有していたら。
 もしもその集団に、「人を殺していい訳がない」という常識が至極当たり前の共通認識として浸透していたら。
 「人を殺したっていいじゃないか」と冗談を「くだらない発言」として、余裕を持って笑い飛ばす事が出来る。

 つまり、文化の成熟とはこういう事なのだ。
 成熟とは、余裕である。

 江戸期に成立した落語には、なかなかに非道い内容のものがある。
 そういった話を笑い飛ばせた庶民の文化レベルは、なかなかに高かったと推察できる。

 政治システムに置き換えて言うならば、タブーの量がそのままそのシステムの不安定さと直結する。
 笑い飛ばせない。根幹に自信が無い。故に弾圧する。

 私は、その国の文化レベルをおおまかに量る時、その国のモザイクの量を見ている。
 例えばアメリカは、ポルノにモザイクを設けていない所は良い。
 それは大人の余裕である。
 しかし、ユダヤや神、差別など、実はモザイクにまみれた国家である。

 では現代の日本はどうか。
 実は、他の国家に比べれば、極めてモザイクは少ない様に思える。
 つまり、比較論の上では「極めてマシ」なのだ。
 しかし、絶対的な量で見れば、まだまだモザイクにまみれている。

 万物の霊長と名乗る我々はまだ、成熟の途上にいる。
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プロフィール

方条遼雨

Author:方条遼雨
■ カルチャー学校講師や身体講座の企画を行っています。 
■ 「動きにおける根本原理の組み替え」に主眼を置いた、【玄運動/玄武術】の概念を提唱し、武術や身体動作を研究しています。 
■ 松聲館・甲野善紀先生、動作術の会・中島章夫先生のアシスタントなども。 
ほびっと村学校講座「りきみをぬく」-日常・運動に役立つ脱力法-講師。

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