「煮え切らない」世界
英雄的に革命を起こした人間がその後醜くなったり、美しい理想で活躍した人間の私生活が狂っていたり、子孫がひどい目に遭っていたりする。
どこか、興ざめする様な要素が大抵ある。
物語のように、都合良く「めでたしめでたし」とはならない。
しかしこの「煮えきらなさ」「歯がゆさ」こそが、現実世界の、真の姿なのだ。
遠目には美味しそうな香りがするが、「なぜこんな物を入れたのだ」と神経を疑いたくなるようなハーブや香辛料が入っている。
それもこれも飲み込んだ上で、身をひきずる様に前に進んできたのが人類の歴史なのだろう。
特定の人間を欠点の無い英雄にまつり上げたり、国家の歴史を、単純な美しさで整えようとする思考回路は危険だ。
現実逃避的な、潔癖症の人間を量産する。
芸能人にせよ、歴史上の人物にせよ、国家にせよ、暗部にふたをする事なく正面から見すえつつ、事績は事績で正統に評価する、という冷静な視点を持つ文化がもっともっと成熟すれば、本当の意味でこの世界はもう少し「すっきり」と整う事だろう。
▲ ホームページ先頭に戻る ▲
- 関連記事
-
- 祈りと呪い (2014/02/17)
- 【未来への手紙】 (2014/02/09)
- 運命 (2014/02/08)
- 「煮え切らない」世界 (2014/01/24)
- 「けち」と「倹約」 (2014/01/15)
- 社会基盤 (2014/01/14)
- 毒をまく (2014/01/05)
テーマ : 心と身体の健康と運動・武術・武道
ジャンル : 心と身体