「甲野善紀の術理史」レポート/2014.1.19(日)
開始から看板を変えながら3年以上つづいているシリーズです。
この講座は、数回に分けて年表順に甲野先生の技の歴史をたどってゆく形式をとっており、今回は1994年の「四方輪」(しほうりん)という術理が中心でした。
年表の先頭から最後までを循環するこのシリーズも、何度目かの「四方輪」を迎え、今回はもっともこの術理における充実した説明がなされ、理解が深まる稽古となりました。
たとえば四方輪における「球の膨張・縮小」という術理がありますが、これは見えないおおきな球をかかえる様に構えた状態から、想像上の球が大きくなったり小さくなったりするのに合わせて、からだの状態や手の位置が変化するというものです。
全身や手のかたち・位置が「変化する球の曲線」にそって動いているので、この基準にしたがっていると、単純にうでを上げ下げするよりも、遥かに複雑な情報が自然と内部に生まれ、相手に伝わることとなります。
忠実に「球の変化」にそって動いていると、からだの各部位が均質に変化するので、相手にとって力の出どころがとらえずらくなるようです。
逆に、うごきの中で球がいびつになってしまうと、出どころも均質でなくなるため力がぶつかり、相手にとらえられてしまいます。
「単純ながら複雑」という要素をもっており、もともと個人的に硬めで過渡的な印象だったこの術理も、あらためて「その時の役割を全うした良い技だったのだな」と認識をあらためました。
そんな話を甲野先生にしたところ、「今の「扇返し」(おうぎがえし・最近進展した柔道の投げ技)に通ずるところがある」との事でした。
「四方輪」のころから、技の代謝が加速的に早くなっている甲野先生ですが、その時その時に過ぎさった技も、見えないところで現在の術理の中に息づいているのです。
そういった部分も、この「甲野善紀の術理史」という講座を続けている意義なのかもしれません。
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